特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
食道
経胸的食道離断
二川 俊二
1
,
渡辺 勇
1
Shunji FUTAGAWA
1
,
Isamu WATANABE
1
1順天堂大学医学部第2外科
pp.744-746
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210014
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門脈圧亢進症による食道静脈瘤の外科治療として経胸的食道離断術は,最も効果的な術式として,本邦では一般的に採用されている.本術式の特徴は開胸・開腹による広汎な中下部食道の血行遮断を行うこと,緊急例・Child Cなどの重症例に対しては二期分割手術として安全に行えることの二点であり,このことが,他の直達術式にくらべて,好成績を得ている要因と考えられる.二期分割手術とする場合には,静脈瘤への効果が確実に得られることから,一期手術としては経胸手術が一般的に行われる.一期手術後1〜1.5ヵ月後に二期手術として経腹手術が行われる.経胸手術では中下部食道の血行遮断と食道離断が行われる.経腹手術としては,脾摘除,腹部食道胃噴門部血行遮断,選迷切,幽門形成が行われる.広汎な血行遮断が行われるため,食道離断部の縫合不全を来さないような工夫とコツが必要となってくる.以下経胸手術の要点を述べる.
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