特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
肺癌治療のプロトコール—東京医科大学外科
於保 健吉
1
,
雨宮 隆太
1
Kenkichi OHO
1
,
Ryuta AMEMIYA
1
1東京医科大学第1外科
pp.1007-1016
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209741
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
肺癌は胸部X線写真,あるいは喀痰細胞診で発見され,90%以上が気管支ファイバースコープ下に組織ないし細胞が採取され,局在も含めた確定診断が行われる.肺癌の治療方針は組織型にもよるが,手術適応の有無を診断することから始まる.手術適応と術式の決定は肺の機能的予備力,年齢,性,合併症の有無などを前提に,癌の根治性の追究と術後のquality of life,延命効果を考慮して個々の症例ごとに検討されなければならない.1970年代後半よりCT scan,気管支鏡を中心とした画像診断法とその解析の進歩,レーザー治療などの新しい補助療法の開発,Cisplatin(CDDP)を中心とした化学療法の普及と治療効果の向上などにより,肺癌の治療方針は1970年代以前に行われていた方式と細部において相違が生じ,未だ流動的な部分がある.教室においても10年前までの治療成績1)との間にかなりの差がみられるようになつた.
本文では現在,教室で行つている肺癌の外科療法を中心とした集学的治療のプロトコールについて述べる.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.