特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
肺癌治療のプロトコール—千葉大学医学部肺癌研外科
山口 豊
1
,
木村 秀樹
1
Yutaka YAMAGUCHI
1
,
Hideki KIMURA
1
1千葉大学医学部肺癌研究施設外科
pp.1017-1025
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209742
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はじめに
1955年に日本外科学会において宿題報告「肺腫瘍」1)を河合直次先生が,篠井金吾(東京医大),石川七郎(慶応大学)両先生と共に3名で分担され,それまでの業績の集積が報告された.当時3教室で扱われた肺癌症例はわずかに入院症例で116例,肺切除で49例であつた.この宿題報告を分担したことを契機に千葉大学における本格的な肺癌の研究と診断が始まつた.1959年に千葉大学医学部に肺癌研究施設の設置が認可され3年の発足の遅れはあつたが,1963年から入院施設ができ,香月秀雄先生を中心にして肺癌研究と特に診療面が軌道に乗つた.
過去30年間の歴史の流れの中で,癌の治療以前の癌本態の究明といつた基礎的な問題から肺癌の早期発見を始めとする臨床的な基本的な問題にいたるまで,その研究と診療は幅広くまた奥深くなされたが,しかし肺癌の治療成績は飛躍的な向上を認めるまでに至つていない2).この事実はわれわれの施設に限つたことではなく内外の現状をみても残念ながら現実として認めざるをえない.
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