特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
甲状腺癌治療のプロトコール—鹿児島大医学部第1外科
島津 久明
1
,
高尾 尊身
1
Hisaaki SHIMAZU
1
,
Sonshin TAKAO
1
1鹿児島大学医学部第1外科
pp.953-960
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209734
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はじめに
甲状腺分化癌(乳頭癌,濾胞癌)はその生物学的特性から他臓器癌に比較して一般に予後が良好で,また逆に未分化癌と悪性リンパ腫は著しく予後が不良であることが知られている.しかしながら,甲状腺分化癌の中に予後不良を呈する症例のあることが,近年数多く報告されるようになり,甲状腺低分化癌の病理学的概念が提唱されるに至つた1).このことは他臓器癌と同様に甲状腺癌においても組織型あるいは分化度の違いによつてその予後が異なり,術前の確定診断とそれぞれに対する治療法の確立が重要であることを示している.
教室では種々の「癌」に対する系統的な治療を行つているが,この中で甲状腺癌の占める割合は約10%と少ない頻度である.しかしながら,1981年から本教室が主体となつて,鹿児島県における甲状腺検診を始めて以後は年間15〜20例の甲状腺癌を経験している.本稿では1973年から1986年までの教室における甲状腺癌手術症例のretrospectiveな解析を基にして,現在教室で行つている甲状腺癌に対する基本的な治療方針を述べる.
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