特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
胆嚢癌治療のプロトコール—浜松医療センター外科
内村 正幸
1
,
浦野 健
1
Masayuki UCHIMURA
1
,
Takeshi URANO
1
1県西部浜松医療センター外科
pp.896-902
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209726
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はじめに
ここ数年,超音波検査を主体とした画像診断の進歩と普及は胆嚢癌の診断を確実に一歩前進させている.しかし,その治療成績をみると,依然として胃癌や大腸癌など他の消化器癌に比較して不良である.それは胆嚢における疾患としての病変が比較的稀で症例の集積が十分でないこと,胆嚢の解剖学的特異性から,所属リンパ節や,肝,胆道,十二指腸などの隣接臓器への癌進展が早く,治癒切除例の蓄積が少ないことである.早期の胆嚢癌を肉眼的に調べてみると,画像診断でとらえ得る隆起型の症例は意外に少なく,診断困難な表面型が多い,現段階での画像診断が完全に到達し得ない原因がここにあると言える.一方,胆嚢癌の背景因子として,肌嚢結石のほかに胆道の形態異常が注目され,特に膵胆管合流異常を有する症例では胆嚢癌の合併が極めて高い,胆嚢癌の治療にあたつては,これらの背景因子も含めた総合プロトコールが必要である.
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