特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
大腸癌治療のプロトコール—国立がんセンター外科
北條 慶一
1
Kei-ichi HOJO
1
1国立がんセンター病院外科
pp.810-819
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209715
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はじめに
大腸癌の患者も増加したが,その外科治療も著しく進歩したものと思われる.診断技術の進歩によるものも少なくないが,この10〜20年の間に大腸癌の術後5年生存率は40〜50%から60〜70%に上昇した.
私どもの外科治療(方針)の歴史をふりかえつてみる.1969年頃より,直腸癌の術後局所再発が高頻度なので(30〜40%),拡大郭清とくに側方郭清の必要性を強調し,現在では下部直腸進行癌では拡大郭清が通常的手術となつた.さらに1972年頃より隣接他臓器進展例に対して他臓器合併切除ないし骨盤内臓全摘術の積極的な採用と,一方では下部直腸進行癌でも小さな限局性のものに対して肛門括約筋温存を企て現在では下部直腸癌でも50%余は肛門括約筋温存手術が施行されるようになつた.すなわち肛門括約筋温存手術を行つても肛門挙筋より腹側の上方,側方郭清は直腸切断術と同様に施行できるとした.
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