特集 [施設別]悪性腫瘍治療方針のプロトコール
大腸癌治療のプロトコール—直腸癌治療を中心に—横浜市立大学医学部第2外科
土屋 周二
1
,
大木 繁男
1
,
大見 良裕
1
Shuji TSUTHIYA
1
,
Shigeo OHKI
1
,
Yoshihiro OHMI
1
1横浜市立大学医学部第2外科
pp.820-829
発行日 1987年5月30日
Published Date 1987/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209716
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はじめに
近年癌についての遺伝子レベルでの基礎的研究が長足の進歩をとげ,また腫瘍免疫や化学療法についても多数の人々により膨大な研究が行われその成果があげられている.にもかかわらず大腸癌に対する最も確実で効果的な治療法は今なお手術による切除という原始的な方法である.その理由は大腸癌が分化型の腺癌が大部分であり,化学療法,腫瘍免疫療法,放射線療法などの補助化学療法の効果も比較的少ないことにもよる.さて日常大腸癌患者を発見し治療にあたつているわれわれ外科医が今回の主題である「大腸癌治療のプロトコール」を考える時,最も重要なことはどのような症例にどのような手術を選択するかということである.しかしその前に大腸癌の手術は最近急速に進歩して今もなお術式の改良や工夫が行われているので,まずその変遷のあとを考えてみたい.
Miles1)が1908年腹会陰式直腸切断術を発表してこれが一般に行われるようになり,従来のperineal excis-ion, sacral excisionはほとんど行われなくなつた.欧米ではさらに進んで1950年代になつて直腸癌に対して側方リンパ節郭清が試みられ生存率の向上が得られたと報告された2,3).
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