書評
国立がんセンター大腸内視鏡診断アトラス
武藤 徹一郎
1
1癌研究会附属病院
pp.1733
発行日 2004年10月10日
Published Date 2004/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107503
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誠にすばらしく貴重な本が出版されたものである.近年,大腸に関してはさまざまな名著が著されたが,早期大腸癌の各型をこれほど見事に,無駄なく,かつ詳細に提示してある成書は他に類をみない.
通常内視鏡所見,拡大内視鏡所見と病理組織所見が,各症例10枚前後の美しい写真で見開き2頁にまとめられている.通常内視鏡観察時の診断の要点も記載されており,読者はまず,通常内視鏡所見から各病変の深達度を推定してみるとよい.次に,拡大内視鏡所見を加味して深達度診断を考える.著者らの提唱するinvasive patternとnon-invasive patternの違いがここでよく理解できるであろう.最後に,標本の組織所見と比較することによって,通常内視鏡診断と拡大内視鏡診断における自らの正診度を比較することができる.著者らの分析によれば,invasive patternを示す病変でsm癌は94.7%,non-invasive patternでは腺腫・m癌が98.4%であり,感度・特異度とも申し分がない.数ある分類の中でも,著者らの拡大内視鏡の臨床分類は最も実用的であり,今後,一般に広く利用されることであろう.
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