やさしい目で きびしい目で・19
21世紀は電子カルテの時代?
北川 和子
1
1金沢医科大学
pp.1433
発行日 2001年7月15日
Published Date 2001/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907444
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朝9時外来開始。看護婦さんが立ち上げておいてくれたコンピュータ液晶画面の電子カルテシステムのアイコンを,ダブルクリックすることから始まる。電子カルテが起動したらID,パスワードの入力を行う。そして予約患者さん一覧の画面にして,最初の患者さんをクリック。次にオーダリングと電子カルテの選択画面で電子カルテを選択。これまでの経過はロールペーパ画面に切り替えて日付の付いたタブをめくっていく。そして患者さんのアウトラインをチェックしたところで,「○○さん,お待たせしました!」と声をかける…という作業を,昨年秋から行っている。全国の大学病院の中で最も早く電子カルテシステムが導入されているのである。
とにかく時間がかかる。数か月の経過のカルテであるが,その患者さんの電子カルテが立ち上がるのに40秒以上かかることもある。眼底などのスケッチはペンタブレットで入力しているが,美しい絵にはほど遠い。レフ値,視野,スペキュラ画像,角膜形状,ほかもろもろの検査は現時点ではスキャナで読み込むしかない。画像ファイリングシステムとのネットワーク化が不可欠である。ペーパレスをうたった電子カルテだが,回診では本当に苦労する。内科では三側表を印刷して,それを主治医がベッドサイドで提示しているとか。眼科暗室にも端末を引いてあるが,画面を立ち上げて経過を読み,そしてコメントをキーボードで打ち込む操作が患者さんの出入りに追いつかない。あらためてアナログカルテの良さを痛感している。ぱらぱらめくって情報を収集するという操作がこんなに重要なことだとは知らなかった。
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