画像診断 What sign?・31
虫垂結石
佐藤 豊
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1聖マリアンナ医科大学放射線科
pp.1377
発行日 1985年10月20日
Published Date 1985/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209149
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虫垂炎の腹部単純X線像の所見としては前出(40(10):1265)の種々の徴候が挙げられているが,その中で最も古典的で虫垂炎に特異的な徴候としてあげられているのは虫垂結石の所見である.本徴候は1906年Weisflog1)によつて虫垂炎のX線所見のうちで最も早く"entero—lith"として記載された.虫垂結石は右下腹部の虫垂の位置すると思われる部位に層状の石灰化陰影としてみられることが多いが(図1),均一なものも存在する.大きさは1cm弱のものが大多数であるが数cmに及ぶものも稀にはみられる.虫垂炎症例全体の約10%に本所見がみられ,壊疽性あるいは穿孔性虫垂炎などの虫垂炎症が著しい虫垂炎においてその出現頻度が高い.虫垂炎を疑わせる臨床所見がある症例の腹部X線像で本所見がみられる時は,穿孔,膿瘍形成あるいは腹膜炎などを合併する虫垂炎の可能性を考え,迅速な対処が必要である.画像上の鑑別としては,腸間膜リンパ節の石灰化,胆石,メッケル憩室内結石,尿管結石,寛骨のbone islandなどがあげられる.また急性虫垂炎の注腸造影にて石灰化していない糞塊が虫垂の中に陰影欠損としてみられるものや(図2),腸管位置異常の症例で虫垂結石が上腹部にみられる症例もある(図3).
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