原典を繙く・8
Oddi括約筋(その1)—D'une disposition a sphincter spéciale de l'ouverture du canal cholédoque
石川 功
1
1社会保険群馬中央総合病院外科
pp.927-928
発行日 1985年7月20日
Published Date 1985/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209060
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Oddi括約筋の胆道・膵疾患における臨床的重要性については,古くから,"扇のかなめ"にも喩えられているが,近年,胆道・膵系の基礎ならびに臨床における関心の亢まりと目覚しい進歩とともに新たな注目の的となつている.この括約筋の原典であるOddiの論文は,1887年のArch.ital.de Biol.(8:317〜322)に上記の「総胆管開口部固有括約筋部の構造について」という標題のもとに発表されている.6頁の比較的短い原著論文である.挿図が一つもない論文なので,Oddiが表現したい詳かなニュアンスまで訳出することは訳者の能力を超えていると思われるが,この全訳を通して,些かなりとも"Oddi括約筋"の立体的イメージを描いていただくことができれば存外の幸せである.なお,この論文でも述べられているように,総胆管固有筋の存在を初めて確証し,これが括約筋としての機能をもつていると推測したのはOddiであるが,彼より約2世紀も古く,グリソン鞘などに名を残しているイギリスの解剖医学者Francis Glissonがその存在をすでに予見していたことも忘れてはならないと思われる.因みに,ステッドマン医学辞典には,Glisson's SphincterとOddi's Sphincterという見出し語がともにみられ,いずれもmusculus sphincter ampullae hepatopancreaticaeと同義に説明されている.
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