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CASE
患者:70代、男性。
既往歴:胆囊摘出術(40歳)。
現在歴:夜間に心窩部がつかまれるような痛みが15分程度続き、当科を受診。受診1週間前より、食後に同様の症状を繰り返していた。血液検査では、ALT 31U/L、γ-GTP 113U/L、炎症反応の上昇は認めなかった。胆囊摘出術の既往があることから、胆管結石を否定するためにMRCP(MR胆管膵管撮影)を施行したところ、肝外胆管の拡張を認めた。EUS(超音波内視鏡検査)では、胆管は拡張していたが、明らかな結石、腫瘤を認めなかった。Oddi括約筋機能不全(sphincter of Oddi dysfunction:SOD)疑いと診断し、3カ月後に画像フォローの方針とした。
その後、症状は落ち着いていたが、約2カ月後に、38℃の発熱、5分ほど続いた心窩部痛を認め、救急外来を受診した。血液検査では、AST 146U/L、ALT 330U/L、ALP 636U/L、T-bil 1.2mg/dL、CRP 2.3mg/dLと上昇を認め、急性胆管炎と診断した。ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)を施行した。内視鏡観察では主乳頭に異常所見を認めず(図1)、胆管造影では、胆管拡張を認めたものの、明らかな陰影欠損は認めなかった(図2)。引き続き施行したIDUS(管腔内超音波検査)においても、胆管結石は認めなかった。繰り返す胆道痛を認めているため、EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)を施行した。EST施行時に、念のため、切開により露出した乳頭部粘膜より生検を施行した。その後、症状は改善したが、生検結果では乳頭部癌と診断された。術後の病理診断結果は、8mmの非露出型乳頭部腫瘍で、腫瘍はOddi括約筋内に浸潤を認めた。

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