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特集 膵頭十二指腸切除後の再建法のポイント
胃温存再建法
Pylorus-preserving pancreatoduodenectomy
鈴木 敞
1
,
金 輝次
1
,
梶原 建熙
2
Takashi SUZUKI
1
,
Teruji KIN
1
,
Takehiro KAJIWARA
2
1京都大学医学部第1外科
2静岡市立病院外科
pp.611-619
発行日 1985年5月20日
Published Date 1985/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209002
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はじめに──筆者らの新しい考え方
程度の差こそあれ,膵頭十二指腸切除後には消化吸収障害,耐糖能低下,ホルモン分泌異常などを回避できない.胃温存膵頭十二指腸切除は,かかる膵切除後の機能低下を最低限に防ぎ止めるべくなされるものである.その骨子は,胃の生理的機能—食物の貯留・消化・移送とか内外分泌など—をすべて保存すると共に,この胃機能温存によつて胃と腸膵などとの臓器相関機構を維持し,そして向膵ホルモン分泌などを介して切除残存膵の内外分泌機能を賦活して,術後膵機能不全を軽微に留めようと目ざすところにある.
切除範囲からみた本術式のポイントのひとつは神経支配をうけた幽門括約筋と十二指腸球部の温存にあると解している.すなわち,幽門括約筋は胃内容を律動的に肛側に送り込むと共に,十二指腸内容の逆流を防止する1).そして十二指腸球部はそれよりのホルモン分泌2,3)を介して胃膵内外分泌を調整すると共に,この幽門括約筋収縮や胃運動調節の上にも重要な役割を演ずるとされる.
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