Japanese
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講座・5
腹部外科と動脈撮影—Ⅴ.撮影法の改良と動脈カテーテル法による癌治療
Abdominal surgery and selective arteriography V. Some improved techniques for diagnosis and treatment in patients with cancer of the abdomen
鈴木 敞
1
,
川部 克己
1
Takashi SUZUKI
1
1京都大学医学部第1外科
pp.805-816
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205366
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はじめに
歴史的にみた動脈撮影のあゆみはとりもなおさず造影用カテーテル先端のあゆみでもある.1941年Farinasにより大腿動脈からカテーテルを腹部大動脈に挿入して動脈撮影が試みられて以来,ながらく腹部に関しては大動脈からの造影に甘んじていたのであるが,やがてこの大動脈の第1次分枝までカテーテル挿入が可能となり,この選択的造影が,しかも経皮的方法で簡単に施行できるようになつた.かくして動脈撮影は腹部疾患の新しい診断法として飛躍的な普及をみるに及んだのである.しかしこの方法も固着するにつれ,さらに大動脈から数えて第2次,第3次の分枝までカテーテルの先端をすすめ,超選択的に臓器の一部分のみを明確に造影しようとする方向に,おおかたの耳目は集中しはじめた.こういつた造影法の改良とはまつたく別に,もうひとつの動きとして,本法を通じて造影剤の代りに薬物を注入して消化管出血や悪性腫瘍の治療を試みようとする最近の流れがある.
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