特集 がんの集学的治療をどうするか
悪性軟部腫瘍
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田中 清介
1
Seisuke TANAKA
1
1近畿大学医学部整形外科
pp.208-210
発行日 1984年2月20日
Published Date 1984/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208557
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近年,悪性骨・軟部腫瘍の治療は化学療法をはじめとする治療法の進歩により大きく変つた.悪性軟部腫瘍の治療において,今日では古典的ともなつた単純摘出術や切・離断術の3〜5年の生存率は約40%にすぎなかつたが,その後外科的療法をとりあげても腫瘍の大きさ,拡がり,悪性度によつて術式を変える方式がとられるようになつただけでなく,この方式による手術的療法に化学療法や放射線療法を併用した集学的治療がとられるようになり,その3〜5年の生存率は90%をこえるようになつた.集学的治療の向上により,四肢においては悪性軟部腫瘍だけでなく悪性骨腫瘍においても,患肢を単に切・離断することなく温存して機能を残す方法がとられるようになつた.われわれがこの患肢温存(limb salvage,limb saving or limb sparing)をはじめた頃は一般にはまだ受け入れられなかつたが,その後,内外での患肢温存療法の報告が増えてきている.ここでは現在行われている悪性軟部腫瘍の集学的治療について簡単にまとめてみたい.ただし,予後(局所再発,遠隔転移,生存率)については紙数の点で割愛する.
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