Japanese
English
臨床研究
術後における一過性心筋梗塞様心電図についての臨床的検討
Clinical studies of transient myocardial infarction pattern in ECG of postoperative patients
佐々 寛己
1
,
水口 一衛
2
,
蜂須賀 喜多男
3
,
山口 晃弘
3
,
磯谷 正敏
3
,
近藤 哲
3
,
堀 明洋
3
,
安井 章裕
3
,
山田 育男
3
,
広瀬 省吾
3
,
宮地 正彦
3
,
深田 伸二
3
Hiromi SASSA
1
1大垣市民病院第1内科
2大垣市民病院集中治療室
3大垣市民病院外科
pp.1261-1267
発行日 1982年8月20日
Published Date 1982/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208103
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はじめに
近年外科学や麻酔学の進歩に加えICUを中心とした術後管理体制の完備が背景となつて手術人口も高齢化が著しい.このため術中術後に循環器疾患を併発する機会が高くなり,とりわけ急性心筋梗塞はその予後の面からも術者の重大な関心事とされてきた.急性心筋梗塞の診断は自覚症状,心電図所見及び血清酵素により下されるのが普通であるが,術後の症例に関しては鎮痛剤の使用や創部痛の為,患者自身典型的な胸痛を訴えることは少なく術後に心電図を撮影しなければ見逃す場合の多いことが予想される.また術後の心電図でST上昇や異常Qを示し,明らかに急性心筋梗塞と考えられるものが経過を追つてみるとその心電図所見が一過性であり,また血清酵素の上昇も極く軽度の場合が多いとする事実も指摘されている1).
以上の如く手術に際して遭遇する急性心筋梗塞は通常経験されるものとはかなり異なつた様相を呈する点で非常に興味を抱かせるが,大切なのはこれが実地臨床面でいかなる臨床的意義を有しているかという点である.この課題を検討するため,今回著者らは術後の心電図で一過性の心筋梗塞様所見を呈した16例の成績をまとめ,①この心電図変化がはたして心筋壊死に基づくものかどうか,②心筋壊死だとしたら通常の急性心筋梗塞と発生機序に関して相違があるか否か,また③その臨床的意義はどうかという点を中心に考察を加えた.
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