Japanese
English
臨床研究
乳輪下膿瘍
Subareolar abscess of the breast
成瀬 隆吉
1
,
鈴村 和義
1
,
石井 俊昭
1
,
加藤 健一
1
,
金光 泰石
1
,
小池 明彦
1
Takayoshi NARUSE
1
1愛知医科大学第1外科
pp.1257-1260
発行日 1982年8月20日
Published Date 1982/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208102
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はじめに
乳房の急性化膿性疾患のうち,特殊なものとして,しばしば乳輪または乳輪近くの皮膚に自然に瘻孔を形成する乳輪下膿瘍がある.これは発赤や瘻孔などの局所所見のみで,発熱,白血球増多のような全身的な症状を伴わず,小切開による排膿で容易に炎症は消褪する.しかし,こうした処置によつて治癒したかにみえても,数週間より数ヵ月,症例によつては数年の間隔で膿瘍が再燃し,ふたたび同様の加療がくりかえされることがある.このため,なかには乳頭の切除のみならず,乳房切断までおこなわれた例もある1).最近,乳癌についての社会的啓蒙が進むにつれ,幾度も再燃する場合には医師の否定にもかかわらず,乳癌に対する不安感に怯える患者も多い.したがつて初回治療時より積極的な根治療法を行うことが必要である.
最近経験した3症例を呈示すると共に,その治療法について考察した.
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