寄稿
十二指腸潰瘍に対する壁細胞領域迷走神経切離術—特に,10年遠隔成績について
榊原 幸雄
2
,
蔵本 守雄
2
Hans-Eric Jensen
1
,
Søren Meisner
1
,
Johans Kjaergaard
1
1コペンハーゲン市立病院第1外科
2愛媛県立中央病院消化器外科
1Surgical Department 1, kommunehospitalet
pp.1737-1741
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207832
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はじめに
十二指腸潰瘍の外科的治療法としては,未だに多くの異なつた術式が行なわれている現状にある.
胃切除BⅡ法術式は,長年に互つて広く用いられてきた方法であるが,その遠隔成績はこのような良性疾患に対するものとしては必ずしも許容し得るものではない.すなわち,術後,十分な満足度を示すものはほぼ60%にすぎず,致死率は3〜5%とされている.また,重症後遺症の発生率は5〜10%を示し,その半数はダンピング症候群と下痢であり,しばしばこのための病弱者をも作るようになり,このような患者は長期間に亘つて外科医や内科医を悩ますことになる.そして,これらの患者に対し種々の治療法が試みられてもきたが満足な成績は得られず,現在のところ,重症ダンピング症候群に対する治療法としては,適応は限定されるもののSawyers & Herrington15)による逆蠕動性空腸分節挿入法が最良の方法であろう.
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