My Operaiton—私のノウ・ハウ
選択的近位迷走神経切離術
島津 久明
1
1東京大学医学部第1外科
pp.1699-1703
発行日 1985年12月20日
Published Date 1985/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209204
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適応と手術
選択的近位迷走神経切離術(selective proximal vagotomy,SPV. 以下,選近迷切と略す)は主として十二指腸潰瘍に対して実施される.最近,その術後の潰瘍再発率がやや高いことから,すべての十二指腸潰瘍にこれを実施することには若干の批判もあるが,現段階では一応根治的な術式の1つと考えておいてよい.しかし,幽門部潰瘍や胃十二指腸共存潰瘍は原則としてこの術式の適応から除外するのが望ましい.
この迷切術式はDragstedt & Owens(1943)による両側迷走神経幹切離術(bilateral truncal vagotomy)から出発して,Jackson(1948),Franksson(1948)らによる選択的胃迷走神経切離術(selective gastric vagotomy)を経て発展したもので,臨床的には1960年代に入つて西独のHolleによつて最初に試みられている.その後,手技上の細部にいくつかの修正が加えられたのち,ほぼこの方面の手術に携わる外科医のコンセンサスが得られた術式が確立されるようになつている.
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