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特集 上部胆管癌の外科
切除療法
私はこうしている
Resection of the hilar carcinoma
川原田 嘉文
1
,
鈴木 英明
1
,
水本 龍二
1
Yoshifumi KAWARADA
1
,
Hideaki SUZUKI
1
,
Ryuji MIZUMOTO
1
1三重大学医学部第1外科
pp.1383-1390
発行日 1981年9月20日
Published Date 1981/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207785
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はじめに
肝外閉塞性黄疸の中で最も治療が困難なものは肝門部胆管の閉塞をきたしたいわゆる肝門部胆管癌であり,この部に原発する癌には左右肝管合流部の癌,いわゆるklatskin tumorの他,上部胆管癌による肝門部閉塞や肝内胆管癌いわゆるcholangiomaの肝門部浸潤などがあげられる.PTC,ERCPなどの胆道系診断法の進歩により,これらのいわゆる肝門部胆管癌の診断の下される機会が増加しているが,本症は切除率が低く切除不能例が多いばかりでなく,黄疸軽減術さえも困難なことが多い.
われわれは1981年4月までの過去4年8ヵ月間にいわゆる肝門部胆管癌21例を経験し,うち15例に手術を行ない14例を切除,切除率93.3%と積極的に切除につとめている.その内訳をみると肝内胆管癌肝門部浸潤の2例に右三区域切除を行なつた他,左右肝管合流部に原発した1例には肝床部を含めて肝左葉切除を,上部胆管癌の4例,中部胆管癌肝門部浸潤の1例,左右肝管合流部の4例の計9例に肝外胆管切除兼肝門部胆管空腸吻合術を,また左右肝管合流部の癌2例には肝門部切除(hilar hepatic resection)兼肝門部肝内胆管空腸吻合術を施行しており,61歳,女性,右三区域切除の1例は術後2年3ヵ月の現在も再発の徴なく生存中であり,ほぼ満足すべき結果をえている.
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