特集 術後1週間の患者管理
成人のソケイヘルニア・大腿ヘルニア手術
中村 卓次
1
,
長町 幸雄
1
1群馬大学医学部第1外科
pp.633-636
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207678
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成人ソケイヘルニア,大腿ヘルニアの予定手術では,創感染と出血に注意すれば術後管理上特に問題点はなく,早期起床と離床,平常どおりの食事摂取で差支えなく,1週間後に抜糸して退院できる.しかし,鼠径部附近の成人ヘルニア患者には高齢者が多く術前から潜在性の腎障害や呼吸障害(慢性閉塞性肺疾患)を持つている例もあるので,体表外科とはいえこれら臓器の術前チェックが必要である.喀痰排出困難な高齢者には術前から喀痰溶解剤,抗生剤を用いたウルトラソニックネブライザー使用による狭義のlung Physiotherapyは咳嗽による術後の腹圧上昇を予防するのに有効である.嵌頓ヘルニアによるイレウス症状,嘔吐などによる水分電解質異常および局所汚染などが予想される場合には,術前・術中・術後一貫した全身管理が必要.絞扼による壊死腸管切除後の管理では十分な患者観察と感染予防が重要である,麻酔法は簡単で安全な腰麻や局麻を選び特殊な状態を除いてできるだけ気管内挿管による全麻を控えると高齢者でも術後管理が容易である.
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