特集 術後1週間の患者管理
潰瘍性大腸炎手術
今 充
1
,
村上 哲之
1
,
大内 清太
1
1弘前大学医学部第2外科
pp.527-532
発行日 1981年4月20日
Published Date 1981/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207659
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
潰瘍性大腸炎の外科的治療はその病因論に定説のない今日,まだ確定的なものは存しない.したがつて,どうしても内科治療に頼ることとなり,その結果副腎皮質ステロイド剤の影響を無視しての手術は出来難い.
本症の手術適応として絶体適応例(大出血,穿孔,腸閉塞,急性中毒症状,急性電撃型など)はそのほとんどが緊急手術となり,相対適応症例(慢性期のものでほかの療法では正常生活に復帰出来にくいと思われるもの,たやすく再発を繰返すものなど)はほぼ待期手術と考えてよい.
そこで,本症の術後管理は副腎皮質機能不全と術後出血,縫合不全,感染が主体となり,緊急手術例ではpoor risk例が多く,一層の濃厚管理が必要となる.
とくに本症の根治性を求めた術式は大腸大量切除となるので,手術侵襲も比較的大きく副腎皮質ステロイド剤長期使用例の副腎機能不全問題を含め,水分電解質の管理が人工肛門造設例のその管理を含めポイントとなる.
術後合併症など異常状態の早期発見の原則は,複雑な臨床検査もさることながら,体温,脈拍数,血圧,尿量比重,呼吸数その他の臨床症状の総合的把握と判断であることを銘記していただきたい.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.