今月の主題 腹痛の診かた・とらえかた
注目すべき腹痛
潰瘍性大腸炎
川上 澄
1
,
斉藤 吉春
2
1弘前大看護学科
2弘前大第1内科
pp.989-993
発行日 1977年7月10日
Published Date 1977/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207278
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はじめに
腹痛は腹腔内の諸臓器に器質的あるいは機能的な障害が生じたときに,最もしばしば訴えられる症状の一つである.潰瘍性大腸炎においてもそれは例外ではなく,種々の程度の腹痛が多くの症例で訴えられる.
図1は全国の主要医療機関381施設の協力を得て,筆者らの教室で行ったアンケート調査の資料から,潰瘍性大腸炎患者の主訴をまとめたものであるが,種々の程度・部位の腹痛が19%と最も高い頻度にある.しかし,続く粘血便,血便,水様便などの糞便異常を合わせると全体の44%にもなり,本症の主訴としては,腹痛よりは糞便異常を伴った便通異常のほうが多いということがいえる1).
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