カラーグラフ 消化器内視鏡シリーズ・39
レンメル症候群
宮城 伸二
1
1順天堂大学医学部消化器外科
pp.1362-1363
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207030
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十二指腸の憩室は消化管の憩室のなかで一番発見頻度が多いにもかかわらず,臨床上,メッケル憩室や結腸憩室ほど問題視されなかつた.しかし十二指腸憩室のうら,とくに旁乳頭部の憩室の存在が総胆管の乳頭開口部を圧迫することにより胆汁や膵液の排出を妨げ,これが原因となって胆管や膵管のうつ滞をきたし二次的に炎症や黄疸を起こすことが注目されるようになつてきた.この事実はすでにLemmelによつて1937年にPapillen syndromeとして報告されており,最近本邦ではLemmel症候群といいならされているようである.
図①の旁乳頭の憩室が総胆管を圧迫したため胆管の拡張がみられ,疼痛と軽度黄疸があつたが胆石や他の疾患は証明されなかつた例であつた.この憩室は外科的に十二指腸腔内に内飜し,憩室が突出した十二指腸壁の穴を縫合しただけで黄疸は消失し,Al-Pも正常に復した.
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