Japanese
English
特集 CTスキャン
CTスキャンの適応
Indications of CT scan
玉木 正男
1
,
村野 寿昭
1
,
井上 佑一
1
,
梅川 智三郎
1
,
芝切 一平
1
Masao TAMAKI
1
1大阪市立大学医学部放射線科
pp.341-346
発行日 1978年3月20日
Published Date 1978/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206911
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はじめに
Computed tomography(以下CT)はX線を透過させた物体について,各部分のX線吸収度の分布を断層像(基本的には「CT値」の大小)として表示するものであるが,在来のtomographyと全くちがう点として,(1)検査目標の層だけにX線をしぼつてスキャンすること(従つて,得られる情報は他の層からの妨害なしにその層にかぎられ,映像としては当然「断層像」になる),(2)そのX線を受けとめるのにX線フィルム,螢光板以外のsensitiveな検出器を用いたこと,(3)その検出器の示す情報の処理をcomputerにゆだねたことの3点をあげることができる.これらのために,CTがその層内の各部分がもつX線吸収度のわずかな差異をも鋭敏に検出できることは,人体に使われて来た多くのX線検査法では及びもよらないすぐれた性能であり(1971年の臨床応用第1例で造影剤なしに脳室腔と嚢腫状脳腫瘍を描出できたことは驚異のまととなつた),CTのもつ意義(従つて臨床上の適応)は細長い人体の横断断層法の単なる一新法というだけでは決してないことを強調せねばならない.CTの臨床上の実施適応について,臓器別,部位別の解説が別になされるから,本稿では主として一般的,原理的に述べることとしたい.
X線の吸収の程度を支配する3つの因子として,(1)物質の密度(比重),(2)それを構成する化学元素の原子番号,(3)X線の波長(吸収はおよそ波長の3乗に比例)がある.
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