私の意見
学会シーズンに寄せて—学術集会の企画,運営について
出月 康夫
1
1東京女子医科大学理論外科
pp.382-386
発行日 1972年3月20日
Published Date 1972/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205568
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はじめに
医学部紛争以来,日本外科学会の新入会員が減少してきている(第1図).外科自体の細分化とそれに伴う分科学会,研究会の濫立が一つの原因となつていることが考えられるが,外科学会の現状がいろいろな意味で若い医師にとつては魅力がなくなつてきていることが大きな原因であろう.これは必ずしも日本だけに見られる現象ではなく,米国医師会(American Medical Association)においても,同様に若い医師の入会が激減していることが大きな話題にされている.とに角,2,3年前から各方面で「学会のあり方」が真剣に討議されているのは,この現状が学会としても放置しえない段階にきていることを示している.
世代によつて会員の意志や考え方が異なるのは当然であり,これはむしろ学会の発展には必要なことであろう.種々の世代や環境の会員の意志が積極的に学会の組織と活動にとり入れられていくことが必要である.この意味で私を含めて従来の一般会員が怠慢であつたことは否めない.わが国の外科医の最大の組織である日本外科学会が社会と直結してより有機的な活動を進めていくためには,まずわれわれ現在の会員が自分達の学会にさらに関心をもち,積極的に発言していくことが必要であろう.
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