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言語聴覚士の資格が法制化され,一定基準のカリキュラムに基づく専門教育を受け,国家試験を通った言語聴覚士がこの春もまた多く誕生しています.資格法制化の一義的目的であった言語聴覚に障害のある児・者に対する専門的サービスの量と質を保証することへの第一歩は確かに踏み出されました.言語聴覚士の国家資格取得者による日本言語聴覚士協会が設立され,爾来,協会の手で専門業務遂行の基盤整備,専門領域の拡大および関連領域の進歩発展に即応するための会員への教育支援プログラムの実施等に精力的に取り組まれていることを見聞し,多忙な日常業務の傍らこれらの役割を背負っておられる関係者のご努力にエールを送ります.この秋には懸案であった学術誌が刊行されると聞きました.学術誌発刊に寄せることばを書く機会を協会会長から戴きましたので,発刊へのお祝いとこの学術誌に寄せる私の独りよがりかもしれない期待を述べさせていただきます.
学術誌の発行は学会活動の中核すなわち学術活動の促進の柱となる活動であると考えます.学術誌としては掲載論文の質の保証が最優先課題であり,多岐にわたる専門領域の論文に対して学術論文の質を問う厳正な評価が必要でありましょう.一方資格を取得して間もない会員が多く,また少人数職種であり日常業務の場で適切な専門的指導が受けられる機会は乏しい現状にあっては,特に経験の浅い会員に日常臨床業務への研究的取り組みを促し成果を論文化し発表する機会を提供し,加えて提出された論文の修正を指導援助する教育的側面もこの学術誌に期待したい役割のひとつと考えます.言語聴覚障害の専門職としてこれまでにそれぞれの専門領域で研鑽をつみ臨床に研究に実績を残してこの領域を現在リードする立場にある方々の力が次世代の育成に注がれるよう,出来るだけ多くの方々の御尽力が得られることを切に願うものです.
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