焦点 看護における学術集会―意義・歩み・運営の実際
学術集会運営とそのヒント
学術集会運営の全体組織
山本 あい子
1
1兵庫県立看護大学
pp.101-103
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100184
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学術集会(学会)の位置づけ
蓮見(2002)は,学術研究の成果を社会に還元する代表的なルートは3つあると述べている。それらは,①大学の役割としての教育を通しての還元であり,これは大学教育を通じて学生に学術研究の成果を伝え,その普及を図ることである。これに加えて,②研究自体の還元として,研究成果自体が産業技術や社会的技術,あるいは政策立案に利用されることであると述べている。そして最後が,③研究成果を学術雑誌や著書などの活字を通して広く社会に公表することであり,学術集会における研究発表は社会への公表の一方法となる。
研究成果を還元するこれらのルートのいずれもが,社会との関係性において問題点が指摘されている。学術集会を含む研究成果の公表のルートに関しては,社会の側からは研究成果が難しくて理解できないとの批判が行なわれ,一方,研究者側からは,成果があるにもかかわらず社会から理解されないと感じられている。学術集会は,その分野の専門家を中心に開催されるが,学術と社会のあり方が改めて模索されている今,専門職を中心とした学術集会のあり方を問う時期が来ているのかもしれない。
本稿では,学会が行なう活動の1つである学術集会に焦点を当て,運営に必要な全体像を述べる。そのことを通して,学術集会を企画・開催する上での全体的視点やコツなどを理解していただければと思う。
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