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境界領域
腹部外科手術と妊娠について
Abdominal Surgery and Pregnancy
武内 義朗
1
,
小原 嘉昌
1
,
石川 修二
1
,
小出 喜代之
1
Yoshiro TAKEUCHI
1
1市立半田病院外科
pp.391-395
発行日 1972年3月20日
Published Date 1972/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205569
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はじめに
「女をみたら妊娠と思え」という警句を先輩からよくいわれる.実際その言葉をうつかり忘れて冷や汗をかくこともある.しかし腹部外科手術が直接妊娠に関係していることは経験としては比較的少ないものである.慢性の外科的疾患は,妊娠前や出産後という時期をえらび手術が行なわれたり,すでに妊娠している場合は中絶して外科手術をうけることが多い.たとえ急性腹部合併症でも妊娠中絶が行なわれることが多く,妊娠継続と腹部手術が直接関係をもつことは極めて少ない.
しかし医学の進歩,社会情勢の変化からくる人間個人の考え方が変わることにより,妊娠中に開頭術や心臓手術が行なわれ母子ともに健全であつたという報告もみられる現在では,腹部外科手術と妊娠継続ということが直接むすびつくことは,今後増加するものと考える.すなわち外科医は妊娠継続とのかかわりあいにおいて腹部外科手術の問題をさぐる必要に迫られている.近い将来,否現在においても,そのような社会的要求の中に医師の責任が問われるべきである.
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