Japanese
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特集 黄疸の外科
膵頭部癌—直接および遠隔成績向上のために
Cancer of the head of pancreas:An analysis of radically operated patients among 74 cases
佐藤 寿雄
1
,
須田 雍夫
1
Toshio SATO
1
1東北大学医学部第1外科
pp.353-361
発行日 1972年3月20日
Published Date 1972/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205564
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はじめに
膵頭部癌の治療成績の向上のためには大別して2つの問題がある.1つは早期診断,早期手術により切除率を高めることであり,他の1つは切除手術の直接成績の向上を計ることである.この意味において,従来の根治手術可能例が全症例のうち,いかなる位置を占めるかをretrospectiveに検討することが早期発見に連なり,遠隔成績の向上のために必要であり,直接成績の向上のためには,特に高度黄疸により惹起される病態生理を把握し,手術および術後経過に対処することが肝要となつてくる.
膵頭部癌は初期においては愁訴も不定であり,診断手技,方法も確立されていないため,他に類を見ないほど予後が悪い.また膵頭部癌に対する根治術式と言われる膵頭十二指腸切除術は直接成績が悪く,合併症も高率であつたため,一時は根治手術術式としての是非論が出るなど,膵頭癌をめぐる問題は非常に多い.本論文では東北大学第1外科教室膵頭部癌症例の症状,検査所見から根治手術例を位置づけし,次いで高度黄疸対策,手術例の検討などの面から膵頭癌治療の現況を述べてみたい.
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