Japanese
English
論説
腹腔動脈瘤の手術治療
Surgical treatment of aneurysm of the celiac artery
田辺 達三
1
,
太田 里美
1
,
橋本 正人
1
,
久保田 宏
1
,
本間 仗介
1
,
菱山 豊平
1
,
杉江 三郎
1
,
川嶋 旭
2
Tatsuzo TANABE
1
1北海道大学医学部第2外科
2江別市立病院外科
pp.219-225
発行日 1972年2月20日
Published Date 1972/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205548
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はじめに
腹部にみられる動脈瘤のうち,しばしば経験するのは腹部大動脈瘤,腸骨動脈瘤であり,腹部内臓動脈に発生する動脈瘤は比較的稀である.Hebe-rer1)の集計によれば腹部内臓動脈に発生した動脈瘤の報告は803例であり,その頻度は脾動脈瘤がもっとも多く約半数の45.4%を占め,ついで腎動脈瘤21.9%,肝動脈瘤16.8%,上腸間膜動脈瘤8.7%であり,腹腔動脈瘤の発生は4.6%,胃動脈瘤2.2%,十二指腸動脈瘤0.4%であるという.本邦における報告例もきわめて少なく,著者ら2)が集計したところによると,脾動脈瘤17例,腎動脈瘤21例,肝動脈瘤7例,上腸間膜動脈瘤5例,腹腔動脈瘤1例など50例前後にすぎない.
これらの動脈瘤は不定の症状を示すにすぎず,その診断は難しい.しかも高率に破裂をきたすためその予後は不良で,かかる時期の手術成績も良好ではない.近年,腹部疾患の診断に血管造影が広く応用されてきているが,これとともに稀な腹部内臓動脈の動脈瘤も発見される機会が増加し,手術前診断による手術成功例もふえてきている.
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