Japanese
English
外科の焦点
同種心臓弁移植—とくにその手技的検討について
Homograft valve replacement, with special reference to technical evaluation
田辺 達三
1
,
渡辺 正二
1
,
村上 忠司
1
,
高木 正光
1
,
久保 良彦
1
,
太田 里美
1
,
美阪 啓次
1
,
富山 三良
1
,
横田 旻
1
,
橋本 正人
1
,
町田 荘一郎
1
,
今井 利賢
1
,
杉山 誠
1
,
青木 高志
1
,
杉江 三郎
1
Tatsuzô TANABE
1
1北海道大学医学部杉江外科
pp.1263-1271
発行日 1968年8月20日
Published Date 1968/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204665
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はじめに
近年における心臓外科の進展は人工心肺装置の導入により開心術を可能とするとともに,各種の先天性,後天性心疾患において良好な治療成績をあげうるまでに至つた.この中,心臓弁膜疾患においては僧帽弁にしろ,大動脈弁にしろ,弁機構が著しく障害された荒廃弁の治療としては,代用弁による障害弁の完全置換手術を必要とすることが認められてきている.とくに過去5年間,この方面の研究としてStarr-Edwards弁をはじめとして各種の人工弁が広く応用され,人工弁による弁置換手術の詳細な成績検討が多数の施設において重ねられてきた.
かかる目的に用いられる代用弁としては,各種の人工弁と,同種および異種弁がとりあげられているが,一般に第1表のごとき諸条件が要求される.今日用いられている人工弁は移植手技がほぼ確立されており,随時に適切な大きさのものが入手利用できるという大きい利点をもちながら,弁機構の面では種々の障害や,合併症の発生が指摘されてきた.たとえば本来の弁と全く異なつた特異な構造に伴う占有度の増加による障害,血行動態における異常,耐久性についての不安などがあげられており,さらに血栓形成,塞栓発生などの重大な合併症がさけられないことも症例を重ねるにつれ重要視されてきた.
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