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特集 胃癌根治手術の問題点
Ⅰ.胃癌の病像と切除範囲,術式の選択について
胃癌の病像と切除範囲の問題点
Some problems on extent of gastric surgery in relation to clinicopathological findings
大森 幸夫
1
,
浅井 正典
1
,
藍沢 修
1
,
石橋 清
1
,
金井 朋行
1
Yukio OMORI
1
1新潟大学医学部第1外科
pp.1855-1862
発行日 1971年12月20日
Published Date 1971/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205494
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はじめに
胃癌の手術成績は最近著しい向上を示してきた.すなわち,全切除例の平均5年生存率は30%台となり,ことに治癒切除例の平均5年生存率は各施設ともおおむね40〜50%という値を示すようになつた12)13)16)19)20).この理由としては,①早期胃癌が5年生存率の検討対象に入つてきたこと,②リンパ節郭清の概念の普遍化,③術後化学療法の施行,などが挙げられよう.しかしながら,外科手術の対象となる胃癌の大半は深部浸潤を伴う進行癌であり,それらの示す複雑多岐な病像は胃癌根治手術において今日なお多くの問題を提起している。周知のごとく,粘膜面に発生した胃癌は,胃壁に対して水平方向と,垂直方向との2つの浸潤型式が組み合わさり複雑な立体的発育を示してくる.Stout26)のいうSuperficial spread-ing typeは前者の極型であり,井口5)らのいうPen型小胃癌は垂直方向の浸潤Potentialがとくに強調された型であろう.
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