トピックス
人工透析の適応—最近の変化
大沢 炯
1,2
1済生会中央病院泌尿器科
2慶大病院腎センター
pp.1363
発行日 1971年8月20日
Published Date 1971/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205433
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最近数年間といつてもここ3,4年の自験例や同専門の諸家の意見から,あるいは外国誌の傾向からも人工透析の適応は変化をしつづけているもののようである.そもそも透析が,人工腎臓(H.D.)の形で医療の実用に供されたのは,1950年代の初め重篤な外傷性急性腎不全に朝鮮戦線で応用され,目覚ましい成績を挙げたことに始まり,まず急性腎不全に,約10年後には,米国で慢性腎不全にと,その用途を拡大した.一方,もう1つの透析法,腹膜灌流(P.D.)は,これより早く1946年頃までには原則的には実用化され,50年代の初期には,その臨床的応用の実績が一般に発表され,1960年代前半までの普及はめざましいものがあつた.その後,主として所要時間と高い透析効率のゆえに人工腎臓すなわち,血液透析の急速な普及となり,一部では,安価,簡便であるとの理由以外には腹膜灌流が顧みられない程の状態となつていたのがつい最近までの状況である.
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