Japanese
English
特集 内部障害(Ⅱ)
人工透析とその適応
Dialysis and its Indication.
太田 和夫
1
Kazuo Ota
1
1東京女子医科大学腎臓病総合医療センター
1Kidney Center, Tokyo Women's Medical College.
キーワード:
dialysis
,
renal failure
Keyword:
dialysis
,
renal failure
pp.661-665
発行日 1982年7月10日
Published Date 1982/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104782
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はじめに
腎機能が何らかの理由で低下し,そのために生命の維持が困難になると考えられる症例に対しては透析療法により体液の量的,質的な調整を行うことが必要となるが,これらの患者をすべて適応があるとするには多少の問題がある.
透析療法はその臨床的効果が確認され,慢性腎不全患者にも適用されるに伴い,その適応という面に関して多くの議論がなされてきた.
特に1960年代の後半に入り,透析の効果が一般的に認識され,適応となる患者が増加するに伴い,人工腎臓装置の不足や経済的な側面から,米国の一部の透析施設では,適応の選択に関して覆面の委員会が組織されて,「誰を救うべきか」ということが議論され,生命を維持することに意義があると決定された者のみが透析治療を受けられるというきびしい状況もおきてきたが,米国ではMedicareやMedicadeなどのシステムを通じて費用の公的な補助がなされ,またわが国においても1967年11月より透析が健保で支払われるようになり,またそれにつれて施設数も増加したので経済的な問題や受入れ施設の収容力の面から適応が制限される事態は解消した.
今回はこのような背景を考慮しつつ,医学的な面を中心に話をすすめていきたい.
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