医療の眼
犬と猿・嫁と姑・医者と医者 2—辺地医大設立に反対した所沢医師会の倫理/犬と猿・嫁と姑・医者と医者 3—巨大な開業医
Q
pp.1197,1206
発行日 1971年8月20日
Published Date 1971/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205409
- 有料閲覧
- 文献概要
4月25日,毎日新聞社説,「医大設立反対ストと医の倫理」.自治省が主体となつて行つている辺地医大の誘致に反対した所沢医師会の反対ストに対して「これじやまるで,デパートと小売店の対立と同じじやないか!」という論旨である.「医の倫理はどこへいったのか!」という指摘である.従来国公立病院のベット数を増やすという場合や,新病院設立のさいに必ずといつてよいほどこうしたトラブルがあつて,医師会が反対の決議をすると,それだけで,病棟新設は許可が下りずに,医師会と病院側の話し合いが始まるのが恒例である.これは元来,地域医療に責任をもつべき(現在責任をもつているかどうかは別として)地区医師会に相談なく,やたらに病院を建てようとする国公立病院側の官僚的方法に対抗する,地区医師会の最低限の知恵だとみるべきであろう.
それにしても,こんどは,そんじよそこらの公立病院とはわけが違う.自治省,文部省,厚生省の3省が関連して,審議会があつて,いささか相手が大きすぎる.所沢の医師会という小さな集団の反対意見は,どう考えても聞き上げてもらえないので,予防接種,乳幼児健診への協力拒否という,最大級の表現をしたものであろう.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.