Japanese
English
講座 運動学習とリハビリテーション 4
環境の変化に対する適応
Adaptation to the novel environment.
大高 洋平
1,2
,
大須 理英子
1
Yohei Otaka
1,2
,
Rieko Osu
1
1慶友整形外科病院リハビリテーション科
2(株)国政電気通信基礎技術研究所脳情報研究所
1Keiyu Orthopaedic Hospital
2ATR Computational Neuroscience Laboratories
キーワード:
環境
,
適応
,
運動学習
,
内部モデル
,
小脳
Keyword:
環境
,
適応
,
運動学習
,
内部モデル
,
小脳
pp.957-965
発行日 2004年10月10日
Published Date 2004/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100648
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はじめに
人間は,さまざまな環境の変化を学習し,適応する.ここでの環境の変化とは,身体内外の環境の変化全てが含まれる.地球から月へ移動した際に生じる重力の変化のように安定した一定の方向性を持つ環境の変化から,氷の上へ移動した際のように不安定で一定の方向性がない環境への変化など,さまざまな性質の変化に適応する必要がある.
リハビリテーションにおいて中心的な話題である内部環境の変化という点で言えば,脊髄損傷により中枢神経の神経回路に一定の変化が生じる,もしくは四肢切断などのように効果器に一定変化が生じる,というものなどが挙げられる.一方,不安定な変化の例として,靱帯損傷により膝関節が緩くなり,体重のかけ方によりいろいろな方向に不安定な状態になる場合などが考えられる.
このような身体内外の環境の変化に対する適応は,リハビリテーションにおいては必須の課程である.しかし,リハビリテーションの臨床の現場において,基礎的な理解を追求する機会は少ない.そこで本稿では,リハビリテーションの視点から,安定した性質をもつ環境,不安定な性質をもつ環境に対する適応について神経科学で得られている知見を整理し,提唱されている理論的枠組みを説明し,実際の臨床とどのように結びつけることができるか模索したい.
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