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特集 手術とその根拠・Ⅰ
胃・十二指腸潰瘍の手術とその根拠—幽門洞切除兼迷走神経切断術を中心に
Surgery for gastric and duodenal ulcer
笠岡 千孝
1
,
大久保 高明
1
,
山岸 三木雄
2
Chitaka KASAOKA
1
1横浜市立大学医学部第二外科学教室
2横浜市立大学
pp.761-766
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205360
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最近の外科療法の動向
胃,十二指腸潰瘍に対する外科療法の最近の動行として,三つのおもなる流れがある.第一は,潰瘍発生に関与すると考えられる局所的,解剖学的因子を,潰瘍を含めて,胃切除という素朴な方法で除去せんとする従来の流れであり,第二は,胃切除という原始的な方法を避け,胃機能を手術的に調節することによつて潰瘍を治癒せしめんとする流れであり,第三はこれら両者を合理的に合わせ取り入れた流れである.胃切除のみによつて潰瘍治癒の目的を達せんとする手術の代表的なものは,従来の広範胃切除術である.胃切除は行なわないで,胃機能を調節するいわゆる機能的手術は迷走神経切断術兼幽門成形術によつて代表される.第三の流れとしては,幽門洞切除術兼迷走神経切断術があげられる.
胃潰瘍と十二指腸潰瘍とに分けて考えると,第一の流れは,胃潰瘍,十二指腸潰瘍のいずれにも用いられるが,第二,第三の流れは主として十二指腸潰瘍に用いられる.しかし,これら三つの手術は,それぞれ手段は異なるが,潰瘍治癒あるいは再発潰瘍防止のために適当な減酸効果の獲得ということを最大の共通的目的としている.また同時に,手術によつておこり得る術後後遺症をできるだけ防止せねばならないという課題を背負わされている.
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