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特集 手術とその根拠・Ⅰ
胃・十二指腸潰瘍の手術とその根拠—幽門側胃部分切除術について
The basis of the proximal partial gastrectomy for peptic ulcer
大井 実
1,2
Minoru OI
1,2
1東京厚生年金病院
2慈恵医大
pp.755-759
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205359
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はじめに
本文は,胃および十二指腸の手術の全般について述べたものではなく,胃十二指腸潰瘍の手術だけに限定したものである.しかし,潰瘍手術の各術式それぞれの全体について述べたものでもなく,そのうちの幽門側胃部分切除術だけを対象にその採用根拠を述べたものである.理由はほかでもない.私は,潰瘍に対する手術としてはこの幽門側胃部分切除術を選択手術としているものだからである.
ところで,この幽門側胃部分切除術なるものは単に胃切除術とよばれて親しまれ,私の生まれる以前からの術式であつた.また私が外科医となつて(1931年)手術術式に関心をもちはじめたころには,潰瘍手術としての評価もおよそ定まりその地位を確保しつつあつた術式でもあつた.事実,私自身が手がけた潰瘍手術の第1例も,この幽門側胃部分切除術(広範囲)であつたし,これと優劣を論じられてきた胃腸吻合術は1例の経験もなく,私は今日にいたつている(胃癌に対する胃腸吻合術は例外).つまり,私は広範囲幽門側胃部分切除術一本で(空置的胃切除術の少例数を含む)外科医としての前半を送つたことになるのだが,ただし,これという確固たる根拠があつてのことではなかった.
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