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特集 手術とその根拠・Ⅰ
胃・十二指腸潰瘍の手術とその根拠—胃迷切・前壁固定・幽成術を中心に
Rationale of gastric vagotomy, anterior pexy and pyloroplasty for duodenal ulcer
広田 和俊
1
Kazutoshi HIROTA
1
1横浜市旭区広田病院
pp.769-775
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205361
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はじめに
十二指腸潰瘍に対する手術療法としては,前世紀末葉以来,胃切除術が長い年月の間,伝統的な座を占めてきた.1943年,DragstedtとOwensが2例の十二指腸潰瘍に迷切を施行してエポックを作つた.すなわち消化性潰瘍の外科治療の考え方に,機能的な要素が大きく盛込まれたのである.このエポックメイキングの迷切も,28年前の形のままでは現存していない.Dragstedt自身から,私は迷切の適応と随伴術式のその後の改良について聞いている.昭和20年代の日本の外科の迷切のはかばかしくない経験をよそに,この機能的手術の分野には,いくつもの進歩がもたらされ,最近十数年間の欧米の外科では,迷切とこれに随伴する手術こそが,消化性潰瘍に対する標準手術として,古典的な胃切除術に代つてきている1)2)(迷切単独では酸分泌をかえつて亢進させることは,かつて私がサルの実験で示した1)通りである).話の混乱を招かぬように,ここで明瞭にしておかねばならぬ点は,以上の記述は消化性潰瘍のうちでも,十二指腸潰瘍についての話である.
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