今月の主題 十二指腸潰瘍〔2〕
綜説
十二指腸潰瘍の手術―(幽門洞切除,選択的胃迷走神経切断合併術について)
山岸 三木雄
1
,
大久保 高明
1
,
米元 敏雄
1
,
笠川 恒夫
1
,
森田 修平
1
1横浜市立大学医学部山岸外科
pp.195-202
発行日 1967年2月25日
Published Date 1967/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403110468
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はじめに
本邦においては,十二指腸潰瘍の手術々式といえば,広汎胃切除を指すほど,広汎胃切除が普遍的な術式となっているが,最近外国においては,胃を大きく犠牲にするため,残胃のCrippleが問題視され,また,広汎胃切除必ずしも再発潰瘍を防止し得ずとして,Antrectomy plus Vagotomyが代表的術式となっている.
本合併術は,胃相性胃液分泌をAntrectomyにより,脳相性胃液分泌をVagotomyにより遮断ないし中絶するので,潰瘍治療の主目的である減酸効果は確実であり,胃の犠牲は比較的小範囲切除ですますことができる.その遠隔成績はたしかに優れており,広汎胃切除に代って普及されてよい術式と考える.
本合併術における迷走神経切断には,普通Total truncal vagotomyが採用されているが,ここには,Harkins,Griflith1)らによって提唱されたAntrectomy plus Selective gastric vagotomyを合併するもっとも新しい合理的な術式を紹介したい.
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