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特集 手術と出血対策Ⅱ
胃・十二指腸手術における出血対策—幽門側胃部分切除を中心として
Technical considerations for bleeding in gastro duodenal surgery
長尾 房大
1
,
池内 準次
1
Fusahiro NAGAO
1
1東京慈恵会医科大学長尾外科
pp.343-347
発行日 1970年3月20日
Published Date 1970/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205055
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はじめに
およそ,手術に出血はつきものである.手術侵襲を極力少なくすることは,外科医が日常もつとも意を用いなければならぬことであるが,このことは,端的にいえば,出血をできるだけ少なく,組織の障害を最低限にとどめて手術を早くおわるということであろう.現在の麻酔は,長時間の手術にもなんらの痛痒を感じない程度に進歩しているが,それにしても,不必要に時間をかけることが望ましくないことは,生体反応の面からみても自明の理である.出血についても同様で,不必要な出血はできるだけ少なく努めるようにするのが原則である.元来,出血対策には,術前後にわたる全身的な対策が根本になることは,いうまでもないことであるが,ここでは,それ以前の局所的な出血対策,つまり,手術時の出血防止,止血法などの要領を,胃腸十二指腸手術を中心にのべることにする.とくに,日常もつとも多く行なわれるのは,胃切除術であると思うので,この術式を中心に要領をのべてみたい.もちろん,消化性潰瘍などの良性疾患の場合における胃切除術と,胃癌などの悪性疾患における胃切除術とは,リンパ節の廓清や周囲臓器の合併切除なども含まれる点で,いわゆる手術侵襲も,かなり異なるものであるが,まず,良性の疾患の場合における胃切除術を実施するに当つての,出血対策についてのべる.
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