Japanese
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特集 輸液の臨床
Poor Risk患者の輸液
Poor risk and transfusion in the surgical patients
玉熊 正悦
1
,
菅原 克彦
1
,
佐藤 長夫
1
Shoetsu TAMAKUMA
1
1東京大学医学部第一外科
pp.1695-1701
発行日 1970年11月20日
Published Date 1970/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205248
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はじめに
surgical riskの評価にあたり,いわゆるpoorrisk患者と判定さ封しる状態は,Woodbridge1)によれば「術前の準備を十分にしなければ手術に危険性を伴うもので,できるだけ侵襲の少ない手術法と無害な麻酔法を選ばなければならない」と表現されている.一方で林2)は,手術適応やそのriskの判定の際,患者の全身状態と予定される手術侵襲の程度のみでなく,麻酔医や術者の技術,術後のintensive careの設備と努力をも含めたdynamicな評価であるべき点を強調している.本特集でpoor risk患者の具体的な対象として筆者に与えられた心・腎不全,糖尿病,ショックなどは,一見患者側の全身状態を重視する従来の常識的な分類にしたがつて選択されているが,本稿ではこれらの治療を担当する側の重要性を十分考慮された上での見解がのべられることは申すまでもない.
このpoor risk患者にとり輸液療法はいわば両刃の剣である.心,腎,肺など,生体のhomeo—stasisの維持にあずかる諸器管の調節能力は幅広い余力をもているため,通常の手術前後の患者ではかなり大ざつぱな概算によつて投与された輸液の量や組成でも,生体は必要に応じて取捨選択してそれに適応し,輸液の本来の目的が達せられる.
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