Japanese
English
特集 手術とその根拠・Ⅱ
Poor Riskと手術侵襲—術前状態の把握および胃癌直接死亡例について
A study of surgical risk in the gastric cancer
信田 重光
1
,
安井 昭
1
,
高村 達
1
,
荒川 征之
1
,
松沢 良和
1
,
田崎 博之
1
,
池口 祥一
1
,
一瀬 裕
1
,
平瀬 吉成
1
Sigemitsu SHIDA
1
1順天堂大学外科学教室
pp.949-956
発行日 1971年6月20日
Published Date 1971/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205380
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はじめに
抗生物質の進歩,麻酔の発達により,各種の手術が非常に行ないやすくなつてきた現在,患部の切除,再建を含めた手術侵襲がかなり大きくなり,一方では思い切つた大手術ができるようになつてきたが,また一方では患者の術前の状態があまり良好でない場合に,過大の侵襲を加えすぎると手術はうまくいつたが術後が思わしくなくて,直接死亡をきたすということもあり得る.手術術式,あるいは切除範囲を決定する場合,この兼ね合いが外科医の最も慎重に考えなくてはならぬ点であろう.そのためには常に患者の術前の全身状態を確実に把握しておかなければならない.そして適切な手術術式で患部の切除,再建を行なつたうえで,術後は手術侵襲を最小限にくい止めるように抗生物質の投与,輸液,輸血を行なつていかなければならない.
本稿では術前状態のpoor riskの把握のしかたを中心として術前,術後のその対策について教室でのルチーンの方法と考え方を述べ,さらに教室での胃癌切除後の直接死亡例を検討して,その対策を考えてみたい.
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