今月の臨床 不妊症はどこまで治せるか
ARTの問題点
21.Poor Responderへの対応
矢追 良正
1
,
渡部 秀樹
1
,
加藤 晴美
1
,
生山 博
1
,
松永 啓伸
1
,
三ツ矢 和弘
1
,
堀中 俊孝
1
,
榎本 英夫
1
,
林 雅敏
1濁協医科大学越谷病院産婦人科
pp.184-186
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409901617
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卵巣機能不全症に対する治療として,1960年にスウェーデンのGemzellが,ヒト下垂体前葉から抽出したゴナドトロピンを刺激薬剤として,卵胞発育促進に利用して妊娠に成功し,1970年になってLunnenfeldが閉経期婦人尿からHMGを抽出して臨床に利用されるようになってから一般的に利用されるようになると,卵巣の過剰刺激が問題となったと同時に,反応しない症例があることも確認され,低反応群として注目されていた.ここからPoor Responderの概念が導かれていた.これへの対応として,HMGの大量投与や漸増法などが検討され,それなりの成果を得ていたが,その半面多胎妊娠の問題が派生していた.われわれも高プロラクチン血症の概念が出てくる以前ブロモクリプチンが臨床に応用されるようになる以前に,HMGに反応せず,大量投与によって排卵に至って妊娠に成功しても維持が不可能であった症例が実は,高プロラクチン血症であることが後に判明し,CB−154投与によって,やっとHMGに反応を得ることができ,妊娠に成功し,妊娠8週までCB−154投与持続してやっと分娩に至った症例を経験している.体外受精に卵胞過剰刺激が逆に利用され,多数卵採取により,より有利に採卵を行うことが提唱利用されるに至った.さらにはGn-RHアナログによる卵胞発育調節が実用化されて,採卵時期決定のプログラミングが行われている.
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