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特集 縫合不全
食道癌手術後の縫合不全
Leakage after radical operation for carcinoma of the esophagus
葛西 森夫
1
,
渡辺 登志男
1
,
阿保 七三郎
1
Morio KASAI
1
1東北大学第二外科
pp.793-798
発行日 1970年6月20日
Published Date 1970/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205121
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食道癌手術後の縫合不全は,死亡に直接つながる危険を有する意味で肺合併症とともに重大な術後合併症である.特に胸腔内吻合では,その大部分が膿胸や重篤な縦隔洞炎へ発展し死に至るとされ,その故に胸壁前皮下あるいは胸骨下経由による挙上胃と頸部食道を頸部で吻合する術式の利が唱えられた.しかしながら縫合不全発生の主要因子である吻合部の過緊張と循環障害を来たしやすい頸部吻合は,当然縫合不全の発生頻度が高く,その結果が直接死亡に至らないといつても,外瘻形成から低栄養状態に陥いり,術前栄養状態の悪いものでは全身状態の悪化の原因となり,また瘻孔閉鎖をみても吻合部狭窄を生ずることが少なくない.この故に頸部食道胃吻合術では,縫合不全を防ぐために,循環障害の改善を目的とする血管吻合を挙上胃腸管に追加する術式などの工夫がなされている1)2).
このような胸壁前または胸骨下胃挙上の不利な点を考慮してもなお回避せねばならぬほど胸腔内食道胃吻合の危険が大きなものであろうか.また血管吻合を追加しなければ頸部吻合における縫合不全多発を防ぐことができないのであろうか.われわれは再建後の状態が生理的なものに近いことから胸腔内吻合を主体として根治手術を施行して来たが,最近7年間の自験例を中心に考察を述べてみたい.
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