Japanese
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特集 胸部疾患縫合不全
食道癌手術の縫合不全
Leakage Following Operation for Carcinoma of the Esophagus
桂 重次
1
,
阿保 七三郎
2
Shigetsugu KATURA
1
1東北大学
2東北大学葛西外科
pp.583-586
発行日 1965年5月20日
Published Date 1965/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203597
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食道癌手術の縫合不全は食道癌の外科的治療で外科医を悩ます最大の問題である.食道癌手術では吻合部に胃癌手術等より遙かに高率に縫合不全が起る.それは手術手技の誤りというよりは寧ろ解剖学的関係によることが多い.その理由は食道癌病巣を切除しても食道と食道の端々吻合は解剖学的関係からできない.すなわち食道にくる血管をそのままにして食道を剥離し上下の断端を近づけることができないからである.したがつて当然癌病巣下方の食道は癌とともに切除し,食道と遊離して胸部に挙上した胃または腸と吻合せねばならない.このさい食道には漿膜がなくかつ周囲と固定されている.胸腔内に食道胃吻合をするにしても漿膜のない食道と胃との吻合には技術的に困難がある.
とくにこの手術は胸腔内の深い部分で行なわなければならない,いま,胃を胸壁前皮下に挙上しても吻合は浅いところでやるゆえ,技術的に困難ではないが,吻合部の循環障害とか吻合部にかかる緊張とかでまた高率に縫合不全が起る.
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