Japanese
English
特集 縫合不全
気管支断端の縫合不全—耐性菌排出肺結核に対する肺切除術
The failure of sutures of the bronchial stump
奥井 津二
1
,
浜野 三吾
2
,
菊地 敬一
3
,
加納 保之
4
Shinii OKUI
1
,
Sango HAMANO
2
,
Keiichi KIKUCHI
3
,
Yasuyuki KANO
4
1国立霞ヶ浦病病院第2外科
2国立療養所中野病院
3国立療養所村松晴嵐荘第2外科
4国立霞ヶ浦病病院
pp.801-804
発行日 1970年6月20日
Published Date 1970/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205122
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はじめに
肺結核症の治療において,罹患肺を切除することは抜本遡源的効果を発揮するものとして外科療法の主流をなしているが,気管支瘻を併発すると予期しない不幸な結果を招来する場合が少なくない.化学療法薬出現以前においては,気管支周囲組織の感染に基づいて閉鎖された気管支断端が破綻して禁止的高率の気管支瘻を発生したが,PcやSMをはじめとする抗生剤が使用されるようになつて気管支癖の発生が劇的に減少したことは文献に明らかなところである.気管支周囲の結核性感染は排菌のある場合に起こりやすいので,これを避けるために手術前に十分な化学療法を行ない,排菌のとまつた時期,または減少した時期を選んで手術を行なうことがすすめられている.しかし化学療法の効果の信頼度が高まつてきた今日では,排菌の止まつたものは原則として外科療法の適応からはずし,長期にわたる化学療法にもかかわらず,排菌をつづける耐性例にこそ外科療法を適用して社会復帰を早めるべきであると考えられる.このような理由で現時点における外科療法の主要な対象は,耐性菌排出例であるが,その成績を悪くしている最も重要な因子の一つとして気管支瘻があげられる.気管支断端閉鎖方法に関しては,Rienhoffの動物実験に基づいてSweetらがthrough and through sutureを実用し,本邦においても広くこの方法が用いられてきた.
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