Japanese
English
特集 肛門外科
肛門疾患の保存療法とその限界
Palliative treatment of Haemorrhoids and limitation of its
三輪 徳定
1
Tokusada MIWA
1
1三輪病院
pp.1455-1458
発行日 1968年9月20日
Published Date 1968/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204690
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はじめに
肛門疾患には,痔核,肛門裂創,肛門周囲炎,痔瘻,肛門掻痒症等があるが,これらの内,痔核が代表的に多い疾患であるので,保存的療法についても,痔核を対象として記載することにした.男子においても,また女子においても同様であるが,大体2O歳ないし30歳位で大多数の者が直腸肛門部に多少とも痔核の変化をきたす.しかし解剖的に変化があつても,初期には自覚的症状を欠く事が多い.私はこのような痔核を無自覚性痔核と称している.このような無自覚性痔核を有しておる者が,不摂生その他種々の原因に依つて無自覚性痔核に刺激が加わつて初めて直腸肛門部に疼痛,あるいは出血,腫脹,脱肛等が自覚され,医師なり薬局なりに相談に行くという症例が多い.また女子の場合には妊娠,出産等に際し直腸肛門部の変化に気付く事が多いように思う.
活動性の痔核の際には種々の症状と病形を呈して来るが,大多数の症例においては,安静と全身および局所の対症的療法を行なえば,1,2週間前後において自覚的症状の大半は軽快,あるいは治癒して,再び無自覚性痔核の状態に復帰する事が多い.現在多くの医師は,初診時の所見により,直ちに観血的療法を決定するが,私は初診より1,2週間保存的療法を行ない,経過を観察し,観血的療法の適応を決定すべきであると思う.
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