外科医の工夫
直腸肛門手術後出血の止血について
三輪 徳定
1
1三輪病院
pp.265
発行日 1973年2月20日
Published Date 1973/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205753
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外科医の工夫といつてもいろいろあるが,今回私は外科医がしばしば遭遇する直腸肛門の手術後におこる出血について述べようと思う.直腸肛門手術後の出血には,術後短時間におこるものと,術後10日前後におこるものとが多い.術後短時間しておこる出血は術者の処置不手際によることが比較的多い.また複雑痔瘻を手術して創面を開放創としておく時,第1回目の包帯交換をする際,挿入してあつた「ガーゼ」を一気に除去するのは危険であるから毎日上層の「ガーゼ」から少しずつ除去し,約一週間位で底面の「ガーゼ」を除去するのが安全である.私も常に若い医師にはこの点を強調しているのであるが,時々手術翌日に全部の「ガーゼ」を除去し,大出血をおこした苦い経験がある.また痔の治療として,いまだに日本では高濃度の腐蝕液を注射や塗布療法に使用して,術後間もなくか,あるいは2,3日して大出血をおこす症例が跡をたたないのははなはだ遺憾である.
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